ソファにとって良い革とは – What’s “Good Leather” ? –

「良い革」とは?

「良い」革とは、人によってその意味が違います。私たちは様々な革を用意し、使う人にとって「良い」革でソファを作らせていただいています。その「良い」革の種類を大きく分けると2種類になります。革本来の特性を生かす「良さ」と、ソファとしての使い勝手の「良さ」です。

革本来を生かす良さ「薄化粧」の革

革本来の良さを生かした革を一言で言うと「薄化粧」の革です。革の原料(原皮)の良し悪しは、革の表面のきれいさで決まります。木で例えると、木目のきれいな銘木です。その銘木にはペンキを塗らないように、良い原皮ほど薄化粧で仕上げます。

肌がきめ細かく、傷が少ない、そういったきれいな革は人気なので、銘木と同様に価格も高くなります。ですので、基本的に「薄化粧」な革ほど価格が高いのです。

ソファとして使い勝手の良さ「厚化粧」の革

ソファとして使い勝手の良い革は「厚化粧」の革です。そういうと聞こえは悪いですが、塗装が革を保護しているため気楽に使え、原料を選ばないためコストパフォーマンスも高い革です。

素上げ

なめした後に染色も塗装もしない素顔の革です。素肌に直接触れることができるので、革本来の肌触りの良さや経年変化を最も堪能できる革です。

革のなめし方には、「タンニンなめし」と「クロームなめし」とがありますが、この仕上げをする革は、「タンニンなめし」です。タンニンなめしの革は、植物性タンニン(茶渋や柿渋もタンニンです)を革に染み込ませて、繊維の詰まった丈夫な革にするなめし方です。最初は白っぽい肌色の革ですが、タンニンが酸化することで徐々に色が濃くなっていきます。

クロームなめしは、戦後に普及した新しい方法です。クロームが革に染み込むと、柔軟なのに強い革になります。この特性のため、一般的なソファによく使われているクロームなめしの革ですが、ブルーグレー色に仕上がるため、素上げで使われることは、まずありません。革素材としては最も革らしさを堪能できるこの素上げの革ですが、染みや汚れがつきやすく気を遣う革です。上手く飴色に育てるには努力がいります。

因みに、一般的には、タンニンなめしの革を素上げした革が「ヌメ革」と呼ばれていますが、タンナー(革をなめす工場)の間では、タンニンなめしの革であれば、塗装されていても「ヌメ」と呼ばれます。

染色仕上げ

一般的にアニリン仕上げと呼ばれている仕上げです。なめした後に染色して色を着けますが、塗装で膜は作らない革です。素上げと同様に革本来の肌触りの良さや経年変化を堪能できる革です。ただし、色移りや色褪せに注意が必要です。

色移りは、革の染料が衣服などに移ることです。たくさん汗をかいていたりして、革が濡れた状態になっていると、染料が水に溶け出してしまうのです。当社のKWランクは、熱などで染料を定着させる他に、表面にワックスの膜を作ることで、色移りを防止するよう加工されていますが、完全に防ぐことはできません。また、染料には昇華性があり、紫外線によって色褪せが起こります。明るい窓際にソファを置くケースが多いのですが、できれば奥の比較的暗い方に置いてもらいたいです。紫外線は革だけでなく様々な素材を色褪せさせますので、直射日光は避けるようカーテンなどを活用されることをおすすめします。

素上げや染色仕上げの様に、塗装膜が革を保護していない仕上げの革では、革の油分が失われやすいため、定期的にオイルを塗る必要があります。オイルが少なくなると、カサカサしてきて爪痕が消えにくくなります。その状態では革の強度も落ちるため、表面が毛羽立ったりしてきます。そのまま放置していると、革が裂けたり、表面が割れたりして、修復ができない状態になりますので、定期的なメンテナンスをしてください。

セミアニリン仕上げ

革らしさを残しながら、汚れや色褪せなどを防ぐために、薄い塗装膜を作った革です。この革の良さは、塗装膜が薄いため色に透明感があって、見た目の革らしさが残っているのに、メンテナンスが簡単で使いやすい点です。

汚れや色褪せに気を遣うことなく気楽に使える革ですが、肌触りや経年変化では革らしさが失われてしまいます。また、後で紹介する顔料仕上げと比べると、塗装膜が弱く耐久性が劣ります。

顔料仕上げ

塗装によってコーティングされた革です。この革の良さは、汚れや色褪せに強くてメンテナンスが楽な点です。顔料は発色が良くきれいな色に仕上がるだけでなく、紫外線による色褪せが少ないため、ビビッドな色を使うこともできます。塗装膜が革を保護しているので、メンテナンスは基本的に不要で、乾拭き程度で大丈夫です。手垢などの汚れは、お湯を絞ったタオルで軽く吹く程度で取れます。

もう一つの良さは、コストパフォーマンスが高いことです。厚化粧で仕上げるため、牛が生きている時にできた傷や肌荒れの跡も隠すことができるため、比較的価格の安い原皮を使用できるのです。仕上がりが均一で加工しやすいこともあって、日本で流通しているソファの革は、ほとんどがこの顔料仕上げの革を使っています。

反面、革らしい表情や経年変化は少ないです。セミアニリン仕上げと顔料仕上げの革は、長年の使用によって塗装膜が傷んでくると、ひび割れてきます。その時は、上から再塗装したり張替えたりすることで、継続して使用することができるようになります。

耐用年数については、使い方や環境によって大きな差があるため一概に言えませんが、これまでの経験から言うと、塗装された革は10~15年で表面がひび割れてきます。

あなたにとって「良い」革を

表面がきれいな原皮ほど薄化粧で仕上がり、革らしさがある反面デリケートでもあります。厚化粧の革は革らしさが少なくなりますが、気楽に使えてコストパフォーマンスが高いです。

この様に「良い」革は人それぞれで、革もそれぞれメリットとデメリットがあります。ソファを使う人が、どの「良さ」を重視しているかによって、おすすめする革が違うのです。

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