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1026.09.13

INTERVIEW

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― まず「TENON」というブランドのコンセプトについて教えてください。

TENONは、“ホゾ組み”という木組みの技術を用いて「軽くて丈夫な椅子」をつくることを大切にしているメーカーです。ホゾ組みを行うことで接合部分の強度が高まるため、他の部分を無駄なく削ぎ落としても、十分な強度を保つことができます。この軽さと強さのバランスこそが、私たちの家具づくりのいちばんのポイントです。

― 展開されている代表的なプロダクトについて、それぞれの背景を教えていただけますか。

「T-chair」は先代がデザインしたプロダクトです。非常に軽くて丈夫、そして使い勝手が良い椅子なのですが、開発当時は地元の「小径木(しょうけいぼく)」を活用してサイズ感を模索していました。それまでは材料をふんだんに使った重くどっしりとした家具を作っていたのですが、「この限られた素材の中で、僕たちにできることは何だろう」という問いがスタートでした。
アート的な作品性から道具としてのあり方を見つめ直し、暮らしに寄り添うプロダクトを目指して試行錯誤を行った末に生まれた、TENONの原点となる一脚です。

「ST-chair」をつくるにあたって、改めて“椅子が軽いことの意味”を深掘りしました。軽さが真価を発揮するのは、やはり複数脚をまとめて運ぶときなんですよね。「それならスタッキング(重ね置き)ができるアームチェアが良いのでは」という発想に至り、日常の実用性と軽さの意味を追求した結果、このプロダクトが生まれました。

「F-chair」は、僕が木工を始めて1年目に手掛けた思い出深い椅子です。当時は角ばったデザインのものが多かったのですが、北欧家具の流行もあり、丸みのある優しい形の方が日常に馴染みやすいのではないかと考えました。また、T-chairの持つどこか硬く男性的な印象に対し、ダイニングチェアを選ぶ機会の多い女性の視点を意識したのも特徴です。
TENONの椅子なので「軽いこと」は大前提ですが、女性が片手で掃除機を持っていたり赤ちゃんを抱っこしていたりしても、反対の手でやさしく軽々と持ち上げられるように。そんな生活のワンシーンをイメージして、柔らかく軽やかな印象に仕上げています。

― 「F-chair」には、デザインや構造面でさらに細やかな工夫が施されているそうですね。

先代が手掛けた名作「T-chair」をどうやって超えるか、当時はすごく悩みました。特徴的である“軽さ”で超えるのは容易ではありません。当初はさらに軽い椅子を目指したのですが、あまりに軽すぎても使う人に不安感を与えてしまう。そこで、あえて少し安心感のある重量に調整しました。それでも十分に軽さが出せたので。実はつくり方自体はT-chairと同じで、断面形状を変えただけなんです。当時はT-chairの製作技法しか知らなかったからこそ、その制約の中でできるデザインを模索しました。
そして、もうひとつ目を向けたのが日常のふとした動作です。女性って、帰宅したときに小さな鞄を椅子のどこかに掛けたくなることが多いですよね。「T-chair」の背もたれには引っかかりがなかったのですが、「F-chair」は鞄が掛けられるように背もたれの端を少し伸ばした形状にしました。この形状にしたことで、結果的に背の接合部分の強度も高めることができたんです。
日常での使いやすさと構造的な強さを細部まで追求した結果、このデザインに辿り着きました。